vol.01

痛傘 (いたがさ)

同人誌などを手掛ける漫画作家の方からのご依頼で、アニメキャラクターを全面にフルカラープリントした傘を製作しました。

傘プロデューサー 傘プロデューサー

宮谷 ひろみ HIROMI MIYATANI

チーフデザイナーとして自社製品・ODM製品の企画立案を中心に、お客様へのご提案や工場への生産指示など、商品づくりに幅広く携わっています。

宮谷 ひろみ

ご依頼のきっかけ

アニメなどのキャラクターがプリントされた傘をつくってほしい。そんなご連絡をいただいたのが始まり。コミックマーケットなどでご自身が手掛けた同人誌や関連グッズを販売されており、その商品のひとつとして傘を販売したいということでした。
しかしながら、個人での事業なのでまずは10本程度から始めていきたいとのこと。これまでに20社近くの傘メーカーに問い合わせ、断られてきたそうです。キャラクターの色へのこだわりもあり、その再現も製品化の難点でした。
直接お会いして詳しくお話をうかがうと、「一般の方からすると“イタイ”と思われるかも知れませんが、ファンからすると絶対に楽しい“痛傘”の先駆者になって世に広めたい」「将来的には痛傘で食べていけるように頑張りたい」。その情熱に心を打たれました。

アニメなどのキャラクターがプリントされた傘をつくってほしい。
課 題
  • 生産数が少なく、どこも受けてくれない
  • こだわりの色を表現したい

全面を限りなく1枚の絵に

傘を開いたときに一枚の絵柄になるのが、お客様のイメージ。

傘を開いたときに一枚の絵柄になるのが、お客様のイメージ。傘の生地は丸みを帯びた三角形を縫い合わせてできるので、絵柄のズレやカーブの処理が課題でした。
そこで転写プリントの会社にご協力いただき、一枚の絵柄をどのようにプリントするべきか、試作を繰り返しました。そうして最適な絵柄の分解方法が分かりました。

鮮やかな色彩と耐水性の両立

キャラクターの個性を際立たせる、多彩な色づかい。転写プリントはその再現にも適していました。ところが生地に防水加工を施すと色移りしてしまいます。雨傘としてちゃんと使えることも“痛傘”のポイントなので、どのように耐水性を持たせるかを検討しました。
そうして開発したのが、コーティングしなくても耐水力のある生地。手触りがよく、上品な風合いなのも“痛傘”のコンセプトにぴったりでした。

キャラクターの個性を際立たせる、多彩な色づかい。

人の手が頼り

製造工程では、プリントした生地の裁断に注意が必要でした。

製造工程では、プリントした生地の裁断に注意が必要でした。特製の木型を使って通常は2枚、場合によっては4枚同時にカットするのですが、わずかな裁断のズレが仕上がりの絵柄に影響してしまうため、1枚ずつカットすることにしました。
三角形に裁断した生地は、スタッフのなかでも特に経験豊富な職人に縫い合わせてもらっています。ここでもわずかなミスが、絵柄のズレにつながってしまうからです。
こうしたことから当初は、製造に普段の3倍以上の期間を要しました。ですが、今では呼吸が分かってきて短納期でつくることができています。

共に成長できる関係性

痛傘
痛傘
痛傘

最初のご発注は3種・各6本の18本。少量からのスタートとは言え、即完売といううれしい結果でした。その後、生産数は徐々に増えていき、“痛傘”は1日に200本売れることもあるというヒット商品へと成長。お客様は当初の言葉通り、会社を設立されました。
現在では “痛傘”のほかにも、傘生地の特性を活かした「撥水ポーチ」や「撥水トートバッグ」を商品化。いずれも弊社が製造しており、共に成長する関係を築かせていただいています。

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